ペクトライト pectolite NaCa2Si3O8(OH) 戻る

三斜晶系 二軸性(+),2Vx=35〜63° α=1.595〜1.610 β=1.605〜1.615 γ=1.632〜1.645 γ-α=0.030〜0.038

形態:針状〜繊維状集合体。b軸方向に伸長している。

色・多色性:無色。

消光角:結晶の伸びに対し数°程度。

へき開:結晶の伸びに対し平行な2方向のへき開が明瞭((1 0 0)と(0 0 1))。その2方向のへき開は互いにほぼ直交する。

伸長:結晶の伸び・へき開に対し正。

双晶:認められない。

累帯構造:組成変化に乏しく,累帯構造は見られない。

産状

蛇紋岩中に塊状をなすロジン岩や変はんれい岩にぶどう石・斜灰れん石・トムソン沸石などに伴い多産する。また,ひすい輝石岩中にひすい輝石のロジン岩化による変質鉱物として,ぶどう石とともに見られる。
ゾノトライト(xonotlite)もロジン岩中に産するが,それは干渉色が1次の白色程度。ペクトライトやゾノトライトはAl欠乏条件ででき,それらは蛇紋岩(Alに乏しい)中の細脈をなしたり,蛇紋岩メランジェの岩塊に多産する傾向がある。
なお,ペクトライトは結晶の伸び方向に対し直角の方向では極めてすり減りにくく,ペクトライトが主の岩石は薄片作成に時間がかかる。




ロジン岩中のペクトライト
 Pc:ペクトライト,Prh:ぶどう石
海洋プレート中層部の変はんれい岩が蛇紋岩メランジェの岩塊となり,ロジン岩化(Ca交代作用)を受けたもの。ペクトライトはぶどう石などとともにロジン岩の構成鉱物で,針状結晶集合体をなす。干渉色はぶどう石と同程度だが,鋭く伸びた針状で,数°程度のわずかな斜消光を示し伸長は正である点がぶどう石とは異なる。






ロジン岩中に脈状をなすペクトライト Pc:ペクトライト,Prh:ぶどう石
ロジン岩中のペクトライトはしばしば脈状をなし,このように脈際の方向から細い針状結晶が射出状をなすこともある。これとは別にその針状結晶の伸びは脈の方向に平行に近い場合も多い。